細田登美子は頷いて言った。「いいわ、この件は田中に任せましょう。去年も彼が担当したわね。」
話している最中に、白いスーツを着た中年の男性が外から入ってきた。男性は細田登美子を見るなり、笑顔を浮かべながら早足で近づいて挨拶した。「やあ、細田社長、お久しぶりです。」
その男性は常という姓で、地方の炭鉱経営者で、細田登美子の古くからの顧客だった。以前、細田登美子がホステスをしていた頃、常社長は来店するたびに彼女を指名していた。
しかし今や細田登美子の立場は違っていた。彼女は今やパラダイスのトップであり、クラブ全体の内外すべてを取り仕切る立場にあった。常社長はもちろん、他のお客様も細田登美子に対して丁重な態度を取らざるを得なかった。
細田登美子は常社長を見て喜色を浮かべ、急いで近寄った。「常社長、本当にお久しぶりですね。どうされました?また白云に出張ですか?」