第133章:自分は馬場絵里菜のことを好きになった

馬場絵里菜は何か面白いことを聞いたかのように、思わず軽く笑った。「私はもともと彼のことが好きじゃなかったわ!」

「えっ?」

夏目沙耶香と高橋桃は同時に呆然とした表情を浮かべた。

そして夏目沙耶香は姿勢を正して馬場絵里菜を見つめ、信じられない様子で言った。「ごまかさないでよ。好きじゃないのにあんな高価な万年筆を買って、しかも名前まで刻印したの?誰が信じるの?」

高橋桃も頷きながら続けた。「それに、つい最近告白したばかりじゃない?たった数日で好きじゃなくなるなんて?」

二人は尋問するかのように馬場絵里菜を見つめ、明らかに彼女の言葉を信じていなかった。主にこれらの出来事は最近起こったばかりで、たとえ気持ちが変わったり他に好きな人ができたとしても、こんなに早くはないだろう?

しかし馬場絵里菜はその時、二人に対して苦笑いを浮かべ、そして表情を一変させ、真剣な面持ちで話し始めた。「本当に言ってるの。私は本当に林駆のことが好きじゃなくなったの。彼は素晴らしい人で、何も問題はないわ。問題は私の方なの!」

「あなたにどんな問題があるの?」夏目沙耶香と高橋桃は口を揃えて聞いた。

馬場絵里菜はため息をつきながら言った。「ただ...突然、気持ちがなくなっちゃったの。」

適当な言い訳を見つけた。自分が一度人生を経験して、今回は二十六歳の魂が宿った体で生まれ変わったなんて言えるわけがない。そんなことを言ったら驚いて死んでしまうだろう。

馬場絵里菜の態度は誠実で、冗談を言っているようには見えなかった。夏目沙耶香と高橋桃は思わず目を合わせ、そして夏目沙耶香は馬場絵里菜を疑わしげに見つめながら尋ねた。「本当のこと?」

馬場絵里菜は迷うことなく頷いた。

彼女は林駆のすべての長所を認めており、確かに好かれる価値のある人だった。でも今は物は同じでも人が違う、彼女はもう十四歳の自分ではなかった。

「わかったわ!」夏目沙耶香はため息をついた。少し残念な気持ちがあった。なぜなら彼女は本能的に林駆と馬場絵里菜がお似合いだと感じていたし、特に最近の林駆の馬場絵里菜に対する態度の大きな変化から、二人にはまだチャンスがあると思っていたからだ。

しかし今となっては、花に意があっても水に情がない状態で、二人は擦れ違ってしまったようだ。