第132章:彼のことが好きじゃないなんて言わないで

馬場絵里菜だけが馬場依子の言葉が分からないふりをして、その場で高橋桃と夏目沙耶香を引っ張って言った。「私たち、二階を見に行きましょう。」

そう言うと、三人は急いで階段を上がった。

最初から最後まで黙っていた柳澤夢子も高遠晴の袖を引っ張り、小声で言った。「晴、私たちも上がりましょう?」

高遠晴はその言葉を聞いて目を上げ、林駆と藤井空を見た。その目つきには明らかな意図が込められていた。

案の定、二人はその合図を受け取り、藤井空は伸びをするふりをして、つぶやいた。「車に座りすぎて背中が痛い、上がって少し横になろう。」

あっという間に、リビングには馬場依子と鈴木由美しか残っていなかった。

「由美、私たちも上がりましょう。」馬場依子はすぐに鈴木由美を見て、無邪気な表情を浮かべた。