馬場依子がここまで言い切ったからには、林駆は心の中で気になっていても、彼女の顔に出すわけにはいかなかった。
むしろ夏目沙耶香は、その場で少し苛立たしげに言った。「もういいわ。今日は林駆の誕生日なんだから、誰も自分のことで台無しにしないで」そう言いながら、夏目沙耶香は意味ありげに鈴木由美を見て、さらに続けた。「誰かさんは気に入らないことがあっても心の中に留めておいて。もめごとを起こしても誰の得にもならないわ」
鈴木由美は腹立たしく思い、今や夏目沙耶香にも当てつけられ、そもそも招待されていない身で、このような面目も立たなくなり、何か言おうとした時、馬場依子に密かに服の端を引っ張られた。「由美、あまり言わないほうがいいわ!」
馬場依子は今になって鈴木由美を連れてきたことを後悔し始めていた。せっかく手に入れたこのチャンスで、林駆に近づいて彼の心の中での好感度を上げようと思っていたのに、まさか開始早々鈴木由美によって台無しにされるとは思わなかった。