会議室を出ると、皆の表情が変わり、前を歩く馬場絵里菜の後ろ姿を見ながら、思わず噂話を始めた。
「この新しい社長はどんなバックグラウンドなのかしら?白川社長までが彼女の言うことを聞くなんて」と細田恵は声を潜めて言った。
松本誇はそれを聞いて首を振った。「さあ、わからないね」
人事部長の菅野波が即座に口を開いた。「社長が言ったでしょう?彼女は東京の人で、第二中学校の生徒だって。気になるなら調べれば分かるんじゃないですか?」
皆は驚いた表情を見せ、慌てて否定した。「そんなつもりはありませんよ!ただ好奇心があるだけです。十四歳の少女が、グループを設立して不動産業に参入しようと考えるなんて。私たちが十四歳の時にはこんなこと分かりませんでしたよ」
彼らは私立探偵ではないので、社長の背景を調査できるわけがない。皆が好奇心を持つのは当然だが、それはただの好奇心に過ぎない。