第157章:叔父のことなど気にしたくない

細田芝子は戸棚から清潔な布団を取り出して馬場絵里菜のために敷き、新しいタオルも一枚渡した。

馬場絵里菜は適当に顔を洗って床に入り、細田芝子はベッドの横の鏡の前に座って髪をとかしながら、何気ない口調で言った。「弟の家は買えたわ。世田谷区の端の方で、新しい団地よ。内装も済んでいるから、そのまま新居として使えるわ」

「そんなに早く?」馬場絵里菜は枕に寄りかかりながら、少し意外そうに言った。

たった十数日で、適当な家が見つかったの?

細田芝子はため息をついて言った。「早くしないわけにはいかないでしょう?おじいちゃんもおばあちゃんも焦っているし、弟ももう若くないのよ。やっと結婚することになったんだから、お相手の要求は何でも早く叶えてあげないと」

細田芝子は細田登美子とは違って、おとなしい性格だった。幼い頃から家族に可愛がられなかったけれど、結婚後も親孝行を欠かさなかった。兄弟とはあまり親しくなかったが、家族の事となると、つい心配してしまうのだった。