第192章:すでに方向が見えた

夏目沙耶香はそれを聞いて、口を尖らせた。「金の力は偉大だね」

明らかに、新田愛美をドラマに呼び戻すには、大金を積む必要があるということだ。

「いくら?」馬場絵里菜は興味を示し、眉を上げて尋ねた。

「税引き後8500万!」夏目家のお嬢様でさえ、この数字を言い出すと首を縮めずにはいられなかった。

馬場絵里菜は内心驚いた。将来の映像業界は急速に発展するとはいえ、現在の2002年では、ドラマは20〜30話程度で、8500万円という金額は1話あたり400万円にもなり、まさに破格の値段だった。

マカオ行きの後で資金ができたら、東海不動産を基盤に子会社を設立して他の分野に進出しようと考えていたが、今、馬場絵里菜の心に新しい方向性が浮かんできた。

エンターテインメント業界は、将来の若者市場の大きなトレンドだ。歌手でも俳優でも、一度ブレイクすれば、エンターテインメント会社に莫大な利益をもたらすことができる。