第211話：私はとても後悔している

そしてこの言葉は、皆の前で築き上げた女神のイメージを台無しにするのに十分だった。

そう考えると、馬場依子は心の中で馬場絵里菜を何千回も何万回も罵った。今回は油断していたが、このまま済ませるつもりはなかった。

怒りが込み上げてくるにつれ、まだ子供である馬場依子は、恥ずかしさと怒りが入り混じり、思わず顔を覆って泣き出してしまった。

馬場絵里菜は廊下から教室へと向かい、階段教室を出ると表情を引き締め、普段の様子に戻った。

結局のところ、彼女は馬場依子に逃げ道を残していた。録音をそのまま公開すれば、誰もが彼女の本性を知ることになっただろう。

しかし、14歳の少女相手に、馬場絵里菜は完全に冷酷になりきれなかった。前世で色のない子供時代を過ごした彼女は、学生時代のトラウマが人に与える影響の深さを誰よりも理解していた。

馬場依子は自分の手口が巧妙だと思っていたが、馬場絵里菜の目には子供じみて見えた。そうでなければ、こんなに簡単に暴かれることもなかっただろう。

馬場依子は確かに悪い子だが、馬場絵里菜は心の底から、まだ救いようがあると、骨の髄まで腐っているわけではないと願っていた。

自分は正義の味方ではなく、まだ花の季節を迎えていない少女を裁く資格はない。今回世論の的になったのは林駆だが、もし他の人だったら、馬場絵里菜は手を差し伸べなかったかもしれない。

角を曲がったところで、馬場絵里菜はさりげなくボイスレコーダーをゴミ箱に投げ入れた。

馬場依子は目を真っ赤に泣いて教室に入ってきた。周りの生徒たちは顔を見合わせたが、議論する間もなく授業のベルが鳴った。

一時間目が終わると、吉田清水と鈴木玲美は馬場依子を廊下の隅に連れて行き、心配そうに尋ねた。

吉田清水：「依子、どうしたの？目が真っ赤になるまで泣いて。」

鈴木玲美も心配そうに口を開いた：「また林駆のことで？」

馬場依子はその言葉を聞いてまた泣き出し、涙に濡れた花のような姿は人の心を痛ませた。

吉田清水と鈴木玲美は焦って声を揃えた：「一体何があったの？」

馬場依子はすすり泣きながら、無力そうな表情で言った：「林駆が陰で噂されているのを見て、申し訳なくなって...私のせいなの！うぅ...」