馬場絵里菜は放課後、まず病院に行って細田登美子を見舞った。
細田登美子は手術後、集中治療室で24時間観察され、今は一般病棟に移されていた。
手術は成功し、その後服用した薬も宮原重樹が自ら調合したもので、体の回復は異常に早かった。
足立区に戻った時には既に日が暮れており、庭の明かりが点いていて、馬場絵里菜は遠くから豊田拓海が庭に立っているのを見かけた。
「やっと帰ってきたね!」豊田拓海も馬場絵里菜を見つけ、すぐに迎えに出てきた。
馬場絵里菜は一瞬固まり、明かりの灯った部屋を見上げてから、豊田拓海に向かって尋ねた。「外で何してるの?」
「お客さんが来てるよ。おじさんだって!」豊田拓海は声を低くして言った。「この前言われた通り、お母さんが入院してることは誰にも言わなかったよ。」