馬場絵里菜は放課後、まず病院に行って細田登美子を見舞った。
細田登美子は手術後、集中治療室で24時間観察され、今は一般病棟に移されていた。
手術は成功し、その後服用した薬も宮原重樹が自ら調合したもので、体の回復は異常に早かった。
足立区に戻った時には既に日が暮れており、庭の明かりが点いていて、馬場絵里菜は遠くから豊田拓海が庭に立っているのを見かけた。
「やっと帰ってきたね!」豊田拓海も馬場絵里菜を見つけ、すぐに迎えに出てきた。
馬場絵里菜は一瞬固まり、明かりの灯った部屋を見上げてから、豊田拓海に向かって尋ねた。「外で何してるの?」
「お客さんが来てるよ。おじさんだって!」豊田拓海は声を低くして言った。「この前言われた通り、お母さんが入院してることは誰にも言わなかったよ。」
前回、豊田拓海が不用意に細田登美子の入院のことを古谷おじさんに話してしまい、古谷おじさんまで心配することになったので、その後馬場絵里菜は豊田拓海に、誰が来ても細田登美子は仕事に行ったと言うように注意したのだ!
しかし豊田拓海がおじさんが来たと言うので、馬場絵里菜は心の中で疑問に思った。大叔父か小叔父か?
考えているうちに、二人は一緒に家の中に入った。
リビングのソファーには、細田繁がタバコを吸いながら座っており、物音を聞いて初めて顔を上げた。
「小叔父さん、来てたんだ!」
馬場絵里菜は淡々とした様子で挨拶をし、ついでに尋ねた。「おばあちゃんは来てないの?」
細田繁は手のタバコを消し、その表情は馬場絵里菜以上に冷淡だった。「いや、どうしてこんなに遅く帰ってきたんだ?」
馬場絵里菜はソファーに座り、細田繁の質問には答えず、直接尋ねた。「小叔父さんが突然うちに来たのは、何か用事?」
細田繁は先日新居を購入したばかりで、今は結婚の準備で忙しいはずだった。
案の定、細田繁は口を開くと言った。「お前の母さんに伝えに来たんだ。ゴールデンウィークに結婚式をやる。お前たち家族みんな来てくれ。」
「ゴールデンウィーク?」馬場絵里菜は一瞬驚き、さらに尋ねた。「ゴールデンウィーク当日?」
細田繁は頷いた。
馬場絵里菜は「……」
白川昼はもうマカオ行きのチケットを予約してしまっているだろう。