第217章:めでたい

その後の数日間は、穏やかに過ぎていった。

細田登美子は弟が五月一日に結婚することを知り、宮原重樹に退院して結婚式に参加できるかどうか尋ねた。宮原重樹は細田登美子の体調をよく理解していたので、うなずいて同意したが、結婚式が終わった後は、彼女は病院に戻って入院を続けなければならないと言った。

肝臓がんの手術は他の手術とは異なり、手術は成功したものの、その後一連の治療が必要で、完全に回復するにはまだ時間がかかり、油断はできなかった。

宮原重樹は馬場絵里菜の指示を受け、馬場輝にも瘀血を消し腫れを引かせる軟膏を処方し、馬場輝は数日塗ると、体の傷もかなり良くなった。

井上はまた時間を作って病院に細田登美子を見舞いに行き、手術が成功したことを知って細田登美子のために喜び、細田登美子に心配事なく療養に専念するように言い、体調が回復したらパラダイスに戻って仕事を続けるように言った。

豊田拓海は五月一日からマネージャーとして夏目沙耶香を連れて撮影に入ることになり、この数日間はとても緊張していた。専門知識を事前に身につけるため、豊田拓海は書店に行って何冊もの本を買って帰ってきた。『マネージャーガイド』『プロフェッショナルマネージャーの素養』『優秀なマネージャーになる方法』『マネージャー速成法』などだったが、買って帰ってみると、多くが的外れな金融関係の本で、芸能界のマネージャーとは全く関係がないことが分かった。

学校に関しては、馬場依子と林駆の件の余波も収まり、すぐに人々の記憶から消え去り、噂も次第に収まっていった。

高校生の多くはそうで、学校のゴシップニュースはリアルタイムで更新され、古いニュースはすぐに埋もれてしまう。さらに五月連休が近づいていたため、名門高校である第二中学校の生徒たちはほとんどが休暇の旅行計画を立てており、馬場依子と林駆の二人の古い話は自然と皆に忘れ去られていった。

あっという間に、五月一日。

午前二時を少し過ぎたところで、馬場絵里菜の家族は起き出して顔を洗い、着替えた。

弟の結婚式で、細田登美子は姉として、早くから手伝いに行かなければならなかった。

豊田拓海も前日に馬場絵里菜によってホテルに泊まるよう手配されていた。兄の部屋はシングルベッドで、とても収まりきれなかったからだ。