第218章:いとこたち

細田繁の新居は世田谷区の南に位置し、かなり辺鄙な場所にあった。しかし、新しい団地で、内装も高級仕様で、八十数平方メートルがたった十二万円というとても安い価格だった。

今、東京は急速に発展しており、最も貧しい足立区でさえも再開発計画に組み込まれている。細田繁の家がどんなに辺鄙な場所にあっても、数年後には価値が数倍になるだろう。

細田繁が教えてくれた住所に従って、一行はすぐにマンションの下に到着した。

新しい団地なので入居率はまだ低く、三階の一室だけが明るく照らされており、賑やかな笑い声が漏れ聞こえてきた。

一同が階段を上がると、ドアを開けたのは細田家の長男、細田仲男の妻、伊藤春だった。

「お義姉さん!」

顔を合わせるなり、細田登美子たちは伊藤春に熱心に挨拶をした。

伊藤春は細田仲男の大学の同級生で、性格は穏やかで教養があり、物事の分かる人だった。

「みんな来たのね!」伊藤春も笑顔で、急いで一同を部屋に招き入れた。

「おばさん」子供たちも挨拶をした。

部屋の中は賑やかで、長男の細田仲男一家が先に到着しており、細田家の両親もすでに来ていた。その他にも細田家の近い親戚や遠い親戚がいて、部屋は人でいっぱいだった。

細田繁の評判はあまり良くなかったが、新居を購入し結婚することになり、親戚たちは招待を受けて喜んで来ていた。体面は保たなければならない。

細田お婆さんは嬉しくて、話をする時は目が細くなるほど笑っていた。普段は無愛想な細田家の主人も、今日は息子の結婚式なので、表情がいくぶん和らいでいた。

部屋の雰囲気は賑やかで和やかで、至る所に見える「祝」の文字と相まって、結婚式の喜びがより一層濃くなっていた。

大人たちは入室するとすぐに忙しく動き始め、馬場絵里菜たち子供たちは手伝うこともできず、会話にも加われず、全員が別の部屋に移動した。

その部屋にはすでに二人の子供が座っていた。男の子は十六歳くらいで、少し太めの体型で、容姿は特に醜くはないが、ごく普通だった。よく見ると細田仲男の面影が少し見え、これが細田仲男の息子で、細田家唯一の孫である細田梓時だった。

細田家の両親は男尊女卑が激しく、細田芝子と細田登美子は息子を産んでいても、それは他姓の外孫で、細田梓時という孫には及ばなかった。