他人がどんな人物であろうと、馬場絵里菜はそれに応じた表情を見せる。
細田梓時のことは気にせず、部屋に入って自分の座る場所を見つけた。進藤隼人は彼女と一番親しかったので、馬場絵里菜の隣に座った。
細田萌は兄とは違い、その時はあまり親しげな態度は見せなかったものの、みんなに微笑みかけ、挨拶程度の対応をした。
リビングからは大人たちの楽しげな会話が聞こえてくる中、部屋の中の五人の子供たちは互いに見つめ合うだけで、言葉を交わすことはなかった。
馬場輝はベッドに寄りかかり、しばらくすると眠りについてしまった。
……
「くそっ!」
突然、静かな環境の中で細田梓時が低い声で悪態をつき、手にしているゲーム機のボタンを強く押しながら、イライラした様子で言った。「電池切れた!」
細田萌は目を少し上げ、兄を見て、かすかにため息をつき、注意した。「お兄ちゃん、お母さんに聞こえないようにして」