第219話:姉さんと遊びに行こうか?

他人がどんな人物であろうと、馬場絵里菜はそれに応じた表情を見せる。

細田梓時のことは気にせず、部屋に入って自分の座る場所を見つけた。進藤隼人は彼女と一番親しかったので、馬場絵里菜の隣に座った。

細田萌は兄とは違い、その時はあまり親しげな態度は見せなかったものの、みんなに微笑みかけ、挨拶程度の対応をした。

リビングからは大人たちの楽しげな会話が聞こえてくる中、部屋の中の五人の子供たちは互いに見つめ合うだけで、言葉を交わすことはなかった。

馬場輝はベッドに寄りかかり、しばらくすると眠りについてしまった。

……

「くそっ!」

突然、静かな環境の中で細田梓時が低い声で悪態をつき、手にしているゲーム機のボタンを強く押しながら、イライラした様子で言った。「電池切れた!」

細田萌は目を少し上げ、兄を見て、かすかにため息をつき、注意した。「お兄ちゃん、お母さんに聞こえないようにして」

細田梓時はそれを聞いて軽蔑的に冷笑し、警告するような口調で細田萌に言った。「余計なことを言うな!」

細田萌は唇を噛んで、それ以上何も言わなかった。

馬場絵里菜と進藤隼人も彼を相手にする気はなかった。

みんなに無視されていることを感じ取った細田梓時は、不機嫌な表情で一同を見回し、そして進藤隼人に向かって言った。「進藤隼人、ゴールデンウィークどこか行くの?」

フルネームで呼びかけるところを見ると、二人の関係がいかに疎遠かがわかる。

突然細田梓時に話しかけられるとは思っていなかったようで、進藤隼人は一瞬戸惑い、ぼんやりとした表情で首を振った。「行かない」

「ふん……」細田梓時は鼻で笑い、からかうような口調で言った。「お前、東京から出たことないんじゃない?」

進藤隼人が答える前に、細田梓時は独り言のように続けた。「去年のゴールデンウィークは父さんと南に行って、青鳥山に登って、川を見て、国慶節には京都に行ったんだ。首都とはいえ、東京とそんなに変わらないよ。ちょっと栄えていて、面積が大きいだけで、特に面白いところはないんだ。

今年は神戸に買い物に行く予定なんだけど、考えてみるとそれもつまらないな。

今日叔父さんの結婚式じゃなかったら、もう出発してたんだけどな」