第278話:お前に口を挟む資格があるのか

細田仲男はよく「なんでここにいるの」と聞くのが好きみたいだ。

最初にモデルルームで会った時も「なんでここにいるの」、空港でも「なんでここにいるの」、そして今も「なんでここにいるの」。

特に彼の口調には、私がいる場所に、お前たちがいるべきではないという傲慢さが明らかに滲み出ていた。

東京はお前の家なのか?

それに明らかじゃないか?和食レストランに来たのは当然食事をするためで、まさか散髪に来たわけじゃないでしょう?

「食事よ!」そう思いながら、馬場絵里菜は素っ気なく答えた。

細田仲男の表情は当然良くなかった。彼は馬場絵里菜に他の女性と一緒にいるところを見られても気にしないが、結局のところこれは誇れることではなく、他人に見られないに越したことはない。

馬場絵里菜は見ただけでなく、二度も見てしまった。