第312章:引っ越すつもり

放課後、馬場絵里菜は直接家に帰った。庭の門をくぐると、食欲をそそる料理の香りが漂ってきた。

馬場絵里菜は心得たように微笑み、今日は豊田拓海が家にいることを悟った。

ドアを開けると、案の定、豊田拓海はダイニングテーブルで食器を並べており、物音に気付いて振り返った。

馬場絵里菜を見て、豊田拓海は少し照れくさそうに笑った。「ちょうど食事時に帰ってきたね?今作り終わったところだよ。手を洗っておいで!」

テーブルに近づくと、馬場絵里菜は八品もの料理が並んでいるのを見て驚き、我に返って笑いながら言った。「どうしたの?今日は何かの特別な日?」

普段二人で食事をする時は、豊田拓海は基本的に温かい料理二品に冷たい料理一品、そしてスープという四品で、それでも馬場絵里菜には多すぎると感じられ、次の食事は大抵残り物を食べていた。