「でも……」
隼人が何か言おうとしたが、絵里菜に遮られた。「でもも何もないわ。傷つけるのが避けられないなら、はっきりと断った方がいいわ。他人の前で彼女を拒否するつもり?」
隼人は慌てて首を振った。「そんなことは……」
「だったらラブレターを返せばいい。相手が察してくれるはずよ」と絵里菜は言った。
進藤隼人はしばらく呆然としていたが、最後には素直にラブレターをカバンに戻した。「わかった」
馬場絵里菜は思わずため息をついた。隼人は純粋すぎて優しすぎる。将来どんな幸運な女の子が彼と結婚することになるのかしら。
しかもこれは最初のラブレターに過ぎない。隼人の条件からすれば、これが最後のラブレターになるはずがない。
……
翌日、絵里菜はいつも通り学校に来た。
学校に入るとすぐ、昨日と変わらない状況だった。まだ多くの人が彼女を密かに見ていたが、絵里菜はまっすぐ前を向いて、周りの視線を完全に無視した。