第333章:ちぇっ、畜生以下の男

息子が自分のところに残ることを聞いて、細田仲男は思わず心の中でほっと大きく息をついた。娘のことなど全く考えていなかった。

細田お婆さんも同様だった。繁は結婚したとはいえ、将来生まれるのが男の子か女の子かはわからない。細田梓時は今、細田家の一人っ子なので、決して伊藤家に行かせるわけにはいかなかった。

伊藤春は二人の心の動きを考えるまでもなく分かっていた。細田家に嫁いでこの数年、男尊女卑の二人の年寄りのことはよく理解していた。もし彼女が梓時を連れて行くと言い張れば、細田家は天地がひっくり返るほど大騒ぎになっても同意しないだろう。

それに、細田仲男は人間としてはろくでもないが、息子には確かに非常に愛情を注いでいた。会社は細田仲男に残すことで、将来息子の生活と学業も保証される。それなら安心だった。

しかし萌は違う。決して萌を細田家に残すわけにはいかなかった。萌は孫娘とはいえ、細田家の人の目には全く存在していなかった。祖父母がそうで、細田仲男はなおさらだった。

だから必ず娘を連れて行かなければならない!

最後に、伊藤春は付け加えた。「ただし、息子は毎月五日間私のところで過ごすことにします。」

細田お婆さんと細田仲男が反対する前に、伊藤春は続けた。「同様に、細田家も萌に会いに来る権利があります。私は邪魔しません!」

伊藤春の目には、息子も娘も同じように大切だった。

細田お婆さんは何も言えなかった。間違ったことを言えば伊藤春がまた会社の分割を要求するのではないかと恐れ、ただ息子の方をじっと見つめるしかなかった。

一方、細田仲男は今、怒るどころか、むしろ古い妻から解放される快感を覚え、頭の中には不適切にも離婚のニュースを玲奈に伝える場面が浮かんでいた。

まさに徹底的な人でなしだった。

伊藤春はもはや彼らの心の内を推し量ることさえ軽蔑していた。しばらく待っても二人が何も言わないので、直接立ち上がって言った。「では、そういうことで。来週月曜日の朝九時に、区役所の民政局で会いましょう!」

そう言いながら、冷たい目で細田仲男を見つめた。「もし来なければ、裁判所に離婚協議書を提出して離婚訴訟を起こし、会社を分割します!」

言い終わると、田中蘭子の手を引いて振り返ることもなく外へ向かった。

田中蘭子は出る前に振り返って一言吐き捨てた。「ちっ、獣以下の畜生!」