細田芝子は今日初出勤で、この制服は東海不動産から支給されたものだった。仕事が終わって帰宅するとすぐに馬場輝に呼ばれ、着替える暇もなかった。
細田芝子は唇を引き締めて微笑んだが、細田登美子には直接は言わず、ただ「しばらく会わなかったから、いろいろなことが繋がらないでしょう?」と言った。
細田登美子は手を止め、思わず細田芝子を見つめた。「一体どうしたの?何か大きなことがあったの?」
細田芝子は笑顔を見せた。「リストラされたの。新しい仕事に就いたところで、この制服のまま着替える暇がなくて。」
「制服?」細田登美子は驚いて、もう一度細田芝子を見回した。このレディーススーツが制服?
細田芝子は頷いたが、それ以上は何も言わず、細田登美子の作った料理を持って台所を出た。
このことは絵里菜が直接話すべきことで、自分が余計なことを言うべきではなかった。