馬場絵里菜と馬場輝の兄妹は頑として譲らない様子で、お婆さんは腹立たしさで胸がドキドキした。
「お母さん、子供たちとは話し合わないで、明日姉さんのところに行きましょう」細田繁はお婆さんの耳元で囁き、馬場輝と馬場絵里菜の兄妹を睨みつけながら声を荒げて言った。「まさか、私をだましておいて、正当化できると思っているのか!」
お婆さんは頷いて、子供たちと話し合っても埒が明かないと思った。馬場輝と馬場絵里菜は態度を崩さず、口を開かせる方法は全くなかった。
「明日また来るから、お母さんに家で待っているように言っておいて」とお婆さんは二人に言った。
馬場輝は眉をひそめ、何か言おうとしたが、お婆さんと細田繁は冷たく鼻を鳴らして、背を向けて去って行った。
心配だった。母は退院したばかりで、こんな騒ぎに耐えられるはずがない。