第414章:この件は終わっていない

「絵里菜、大丈夫?」

林駆がそう言って近寄り、心配そうな目で尋ねた。

内心では少し悔やんでいた。さっきは自分が絵里菜を助けるべきだったのに、月島涼に先を越されてしまった。

絵里菜は軽く首を振り、思わず月島涼が去っていった方向を見つめ、少し眉をひそめた。

「あの人、冷たそうに見えるけど、意外と親切なんだな」と藤井空が傍らでつぶやいた。

他の人たちは月島涼が転校初日の朝に既に一度絵里菜を助けていたことを知らず、ただのクラスメイトとして正義感から助けに入っただけだと思っていた。

みんなもバスケットをする気が失せ、女子たちと一緒に教室へ戻ることにした。

高校二年生の男子たちは絵里菜たちが去っていくのを目の当たりにしたが、何も言い出せなかった。

「伊藤、大丈夫か?」と誰かが心配そうに尋ねた。