第431章:ねぎらいの言葉

馬場絵里菜は話を聞いて、なんとなく分かったような分からないような感じで頷き、心の中で伝統的な日本武道の武道館について考えていた……

「門主が行きたいのなら、私が武道館を探して、一緒に行きましょう」と月島涼が言った。

馬場絵里菜はすぐに答えた。「はい!」

馬場絵里菜を団地の入り口まで送った後、月島涼は立ち去った。

馬場絵里菜がカバンを背負って道路を渡り、団地の門に入ろうとしたとき、反対側から進藤隼人が歩いてくるのが見えた。

進藤隼人は銀色のトロフィーを抱えており、馬場絵里菜を見つけると駆け寄ってきた。「姉さん!」

馬場絵里菜は彼の手にあるトロフィーに気づき、思わず微笑んで尋ねた。「賞を取ったの?」

進藤隼人も可愛らしく笑顔を見せ、頷いた。「銀賞です」

そう言いながら、馬場絵里菜を気遣って尋ねた。「姉さんは?金賞は第二中学校だって聞いたけど」

馬場絵里菜はその言葉を聞いて、得意げにカバンを叩いた。「それがお姉ちゃんよ。トロフィーはカバンの中」

「本当?」進藤隼人は喜んで、急いで言った。「センター試験で20点加点されるんだよね」

このコンテストの価値は言うまでもなく、金賞で20点の加点は多くはないが、馬場絵里菜にとっては十分だった。

二人は笑いながらエレベーターに乗り、家に帰ると、馬場輝一人だけがいた。

一目見て、彼の腕の包帯に気づいた馬場絵里菜は慌てて、カバンを投げ出して駆け寄った。「お兄ちゃん、怪我したの?」

進藤隼人も近寄り、馬場輝の腕の包帯を見て眉をひそめ、心配そうな表情を浮かべた。

馬場輝はその様子を見て、安心させるような笑顔を見せ、「大したことないよ。今日、ケーキを注文しに行って……」

馬場輝は出来事の経緯を詳しく説明し、馬場絵里菜はようやく安心した。田中勇がまたお兄ちゃんに嫌がらせをしたのかと思っていた。結局、田中勇は自分が第二中学校に通っていることを調べられたのだから、きっと自分が馬場輝の妹だということも分かっているはずだった。

幸い田中勇にはそんな度胸はなく、正義感から負った怪我だったのだ。

しかし考えると、つい口を開いてしまった。「お兄ちゃん、次はこういうことがあっても何も考えずに飛び出さないでね。正義感は良いことだけど、状況も考えないと。相手はナイフを持っていたんだよ」