第430章:武道館で学ぶ

井上雪絵は落ち込んだ表情で言った。「連絡先を聞くのを忘れちゃった!」

ああああああ、本当にドジだわ、どうしてこんな大事なことを忘れるなんて!

菅野波は不思議そうな顔で若奥様を見つめ、そして眉をひそめながら心の中で呟いた。あなたは井上財閥のお嬢様なのに、どうして他の男性に連絡先を聞くなんて。

しかし、井上雪絵の性格はそういうものだった。彼女は身分の差も年齢の差も気にしない。好きなら追いかければいい、そうでなければカッコ悪い。女性から男性を追いかけることは恥ずかしいことじゃないのだから。

お兄さんのような格好良くて優秀な人は、油断すると他の人に先を越されてしまうかもしれない。

それに、さっき調書を取る時に気付いたけど、このお兄さんはまだ18歳で、彼女より4歳年上なだけだった。

女は三つ年上がいい。

男は四つ年上が良い子を産む。

彼女はお兄さんの子供を産みたい!

一番大事なのは、この人が一目惚れを信じさせてくれたこと。井上雪絵は心の底から、人生で一度の一目惚れに出会えることは本当に幸運なことだと思った。彼は勇敢な騎士のように、突然彼女の世界と心の中に飛び込んできたのだ。

今でも彼の姿を思い出すと、胸がドキドキしてしまう。

でも...連絡先を聞くのを忘れてしまった。

井上雪絵は落ち込んだ表情で、思わず口を尖らせた。菅野波はそれを見て、仕方なく溜息をつきながら言った。「お嬢様、明後日の午後にケーキを取りに来られるでしょう?私が車で早めにお連れしますので、彼に会えるはずです。」

菅野波の言葉は一筋の光のように、瞬時に井上雪絵の萎えた気持ちを呼び覚ました。彼女は目を輝かせて言った。「あっ、波おじさん、あなた賢いわ。じゃあ明後日早めに出かけましょう。」

……

午後の放課後、馬場絵里菜は細田芝子の家に行くことにした。一緒に行くのは当然月島涼だった。

登下校時に送り迎えがあるのは、まるで赤ちゃん扱いされているような気がして馬場絵里菜は気が引けたが、最近トラブルが多すぎて、慎重に行動せざるを得なかった。夏休みになれば良くなるはずだ。

道中、馬場絵里菜は突然月島涼に心法の修練について話し始めた。