井上雪絵は馬場輝を見つめ、その視線は率直で熱烈だった。まさに恋する人を見つめる目だった。
彼は本当にかっこいい。
かっこいいだけじゃなく、正義感もある。
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テレビのドラマで見る一目惚れのシーンを馬鹿にしていた井上雪絵だったが、今この瞬間、世の中に一目惚れは確かに存在すると信じるようになった。
それは一瞬のときめき、たった一目で、この人と結婚したいと思う衝動だった。
海外での三年間の生活で、井上雪絵の心は同年代の人よりも成熟し、開放的になっていた。
彼女は慎み深さなんて気にしなかった。ただこのお兄さんのことが好きなだけだった。
井上雪絵の視線があまりにも熱いため、馬場輝は少し居心地が悪くなり、今日は本来の用事があったことを思い出した。
カウンターに向かい、馬場輝は店員に言った。「すみません、誕生日ケーキを予約したいんですが、明後日の午後に取りに来ます。」