第439話:お嬢ちゃん、お誕生日おめでとう

細田梓時は力いっぱい涙を拭ったが、返事はしなかった。

「お前も何か言ってくれよ!」細田仲男は焦り、黙り込んでいる伊藤春に向かって言った。

まさか、この機会に息子を奪おうとしているのか?

伊藤春は我に返り、ただこう言った。「私は関与しないわ。梓時に決めさせましょう。私のところに残りたければ残ればいいし、あなたと行きたければ止めはしないわ。でも、あなたは責任を持つと約束してちょうだい!半月も姿を消すなんて、それが父親のすることかしら?」

伊藤春に息子を説得してもらおうと思ったのに、かえって痛烈な非難を浴びることになった。

細田仲男は深く息を吸い、伊藤春の不満は聞き流し、ただ細田梓時をじっと見つめた。

最後に、切り札を出した。「パパと帰ろう。パパが謝るし、償いもする。何が欲しいか言ってごらん!」