第447章:彼らよりも薄情でなければ

「ふん」馬場絵里菜は不満そうに口を尖らせた。「あの人たちが私たちの家族にしてきたことに比べれば、これでも手加減してあげたようなものよ」

ボウルを戸棚に戻しながら、絵里菜は続けた。「あの人たちは道理が通じない人たちよ。私たちが譲歩すればするほど、舐められて、つけ込まれるだけ」

「そういう人たちには、向こう以上に冷たくしないとダメ。おばあちゃんたちがお母さんを娘として扱わないなら、私たちだってあの人たちを親戚として扱う必要なんてないわ」

細田家の人々への憎しみは、絵里菜が誰よりも骨身に染みていた。前世で彼女は、細田家の人々の冷酷さを身をもって経験していたからだ。それは彼女に対してだけでなく、母親に対しても同じだった。

二つの人生で積み重なった怨みは、馬場輝と違って、絵里菜は細田家の人々に対して一片の情も持っていなかった。だからこそ、情けも逃げ道も与えなかったのだ。