第457章：プレゼントを開ける時間

そう言って、馬場絵里菜は意図的に軽蔑した目つきで藤井空を見つめた。「もしかして、お酒が飲めないんじゃない？」

藤井空はそれを聞いて、思わず目を見開いた。「誰が言ったんだ。女の子たちが飲めないんじゃないかと心配してるだけだよ」

「気遣わなくていいわ！」馬場絵里菜は笑って言った。「一杯飲んだだけで机の下に潜り込まないでよ」

「そんなことはないわよ！」夏目沙耶香は藤井空のことをよく知っていたので、すぐに口を挟んで彼を擁護した。

藤井空は得意げに眉を上げた。

みんなでしばらく談笑した後、林駆がようやくゆっくりとやって来た。

「林駆、どうしたの？絵里菜の誕生日なのに遅刻するなんて！」

顔を合わせるなり、夏目沙耶香はわざと不満そうな顔で林駆を叱りつけた。

林駆は一目見て、全員が揃っていて自分が最後の到着だったことに気づき、すぐに申し訳なさそうに馬場絵里菜に謝った。「ごめん、ごめん。道で追突事故があって、時間がかかってしまったんだ。すぐには解決しそうになかったから、タクシーで来たんだ！」

「大丈夫だった？」馬場絵里菜は急いで尋ねた。

林駆は首を振った。「大丈夫だよ、ちょっとした接触事故だけど、繁華街で起きたから渋滞になっちゃって」

馬場絵里菜の左側には月島涼が座っており、みんなは意図的に右側の席を林駆のために空けていた。林駆も臆することなく、自分が馬場絵里菜のことを好きだということは皆知っているので、堂々と歩いて行って座った。

座ってから、林駆はレストランを見回し、みんなに言った。「さっき下で馬場依子を見かけたよ。お父さんと一緒に食事に来てたみたいで、男の子も一緒だった。たぶん弟だと思う」

「えっ？」

全員が眉をひそめ、反射的に周りを見回した。この華咲ビルには最上階のレストランが一つしかなく、馬場依子が食事に来るとすれば、ここしかないはずだった。

しかし、馬場依子の姿は見当たらなかった。

「レストランは広いから、会わないかもしれないわ」高遠晴は冷静に言った。

夏目沙耶香も馬場依子のことで皆の気分を台無しにしたくなかった。これは馬場絵里菜の誕生日を祝って、みんなが久しぶりに集まった大切な時間なのだから。