第471章:近くに部屋を借りる

「やあ、僕は柳澤勇気だ。三番目の先輩だよ」

「僕は西野孝宏、五番目の先輩だ!」

「僕も!古谷浩だ。元は一番下の後輩だったけど、今じゃ君たちの先輩になったよ」

男子たちが競うように自己紹介をする中、最後に唯一の女子が笑顔で口を開いた。「みなさん、こんにちは。私は平野青です。あなたたちの先輩よ」

この武道場では、呼び方が百年以上も続いていた。現代社会とはいえ、今でも先輩後輩の呼び方が残っている。

みんなが次々と話し、人数が少なかったこともあり、うるさく感じることはなかった。

馬場絵里菜は目の前の親しげな同門を見つめながら、顔に淡い笑みを浮かべていた。みんなこんなに打ち解けているなんて、想像していたのとは少し違うな、と。

一人一人の名前を覚えると、全員の自己紹介が終わった後で絵里菜が口を開いた。「先輩方、こんにちは。私は馬場絵里菜です。数日前に十五歳の誕生日を迎えたばかりです」

月島涼が話すのを好まないことを知っていたので、彼の代わりに紹介した。「彼は月島涼です。月島と呼んでください。十四歳です!」

二人とも入門時期も年齢も他の人より若かったので、自然と末っ子の後輩となった。

「じゃあ、絵里菜は七番目、月島は一番若いから八番目だな」と鈴木墨が傍らで笑いながら言った。

武道場は長い間新入生を受け入れていなかったので、みんな特に興奮して喜んでいた。絵里菜に色々と質問を投げかけ、彼女が足立区出身だと知ると、一同目を丸くした。

「足立区って、すごく貧しいところじゃないの?」

西野孝宏は率直に、驚いた様子で言った。

次の瞬間、失言だったと気づいたようで、急いで絵里菜に謝った。「後輩、悪気はないんだ。ただちょっと驚いただけで」

絵里菜は気にせず笑った。「大丈夫です。うちも最近少し商売を始めてお金を稼げるようになったんです。それに足立区はもうすぐ再開発されるので、うちは港区に家を買って、今リフォーム中なんです」

絵里菜の説明で、みんなはすぐに納得した様子だった。

「でも足立区から武道場まで遠すぎないかしら?私たち朝五時から馬歩をしないといけないのよ!」と平野青が心配そうに言った。

馬歩、つまり一般的に言う馬歩の型は、武道を学ぶ者が毎日欠かせない課程で、主に下半身の安定性を鍛えるものだ。

今度は絵里菜が驚く番だった。

「何、何時からですか?」