第472章:恋煩い

皆はその言葉を聞いて、表情を固めた。

部屋を借りる?

二人ともまだ十四、五歳なのに、今から出て部屋を借りるなんて、親は許さないだろう?

しかし馬場絵里菜はこの方法が実行可能だと思った。今のところ、これより良い方法は見当たらないようだった。

一時的に部屋を借りるのは、毎日午前三時に起きるよりはましだ。

「これしかないわね。月島、近くに適当な部屋があるか見てみて。あまり良くなくてもいいから、近ければいいわ」と馬場絵里菜は言った。

月島涼は頷いた。

「僕の家の近くに空き家があるんだ。環境はあまり良くないけど、気にしないなら住んでもいいよ」とそれまで黙っていた中川文が突然口を開いた。

馬場絵里菜はそれを聞いて、目を輝かせた。「いいわね、先輩。どこにあるの?」

「東の交差点のところだよ。数年前に買った家なんだけど、僕と父は武道場に住んでいるから、ずっと空いていて、売りもしなかったんだ」中川文は馬場絵里菜が同意したのを見て、続けて言った。「後で案内するよ。良ければ貸してあげるから。武道場からは交差点一つ分の距離だよ」