第464章:言霊術

豊田拓海が夏目沙耶香を新田愛美の会社に連れて行かなかったのは、きっと彼なりの考えがあったのだろう。それは自分の会社とは関係のないことだ。

自分も豊田拓海と正々堂々と条件や将来沙耶香に提供できるリソースについて話し合い、裏で小細工をしたわけではない。すべては公平な競争だ。

そう考えて、馬場絵里菜は微笑んで、さらりと言った。「夏目沙耶香は私たちの会社も必ず獲得したいと考えています。お互いを尊重し、公平に競争して、最終的な決定権は夏目沙耶香に委ねる。それでいいじゃないですか?」

新田愛美は表情を変えず、肩をすくめて言った。「あなたの言いたいことはわかります。今日来たのは誰かを脅すつもりはなく、ただ私の言葉を理解してほしいだけです。私の提示するどんな条件でも受け入れる用意があります!」