第465話:読者が言うあなたのキャラ崩壊しそう

白川昼は傍らに立ち、新田愛美が今「土下座して許しを請う」様子を見て、思わず無奈気に首を振った。

彼は下階の東海不動産で会社の業務を処理していたが、突然橋本通から電話があり、新田愛美がエンターテインメント会社に来て、社長と二人きりでオフィスにいるとのことだった。

白川昼は新田愛美に門主が彼女に会いたがっているという件をまだ伝えていなかったことを思い出し、彼女が突然現れたのは他の用件のためだろうと、何か悪いことが起こりそうな予感が心の中に湧き上がり、急いでエレベーターに乗って駆け上がった。

しかし、一歩遅かったのだ!

新田愛美を一瞥し、白川昼は前に出て彼女を助け起こした。「まず立ちなさい。読者があなたのキャラ設定が崩壊しそうだと言っているよ。」

新田愛美は暗い表情を浮かべ、自分は何て不運な女なのかと密かに嘆いた。芸能界で何年も過ごしてきたが、誰に対しても言靈術を使ったことがなかったのに、初めて使ったら鉄板に当たってしまった。

その時、馬場絵里菜はソファに座ったまま、目が虚ろで頭の中は混沌としていた。

言靈術に制御された人は、誰もがこのような状態になる。副作用のようなものだが、脳や体に害を及ぼすことはなく、しばらくすれば症状は消える。

白川昼は新田愛美を見て、また軽くため息をついた。

この狐は普段は狡猾なのに、今日はどうしてこんな無謀なことをしたのか。たとえこの人が門主でなくても、むやみに他人に瞳術を使ってはいけないのに!

新田愛美は今、腸が青くなるほど後悔していた。自分がその時頭が短絡していたのか、時間がないと思い込んで、やむを得ずそうしたのだ。

もし向かいに座っているのが門主だと知っていたら、夏目沙耶香どころか、自分も一緒に両手を挙げて降参していただろう。

しばらくして、馬場絵里菜の意識が徐々に戻り始め、ぼんやりしていた視界が鮮明になり、向かいに座っている白川昼が見えた。

少し痺れている太陽穴をさすりながら、馬場絵里菜は軽く「来たのね」と言った。

馬場絵里菜が正気に戻ったのを見て、新田愛美は素早く立ち上がり、罪を認めるような態度で馬場絵里菜の前に片膝をつき「捨仙十二衛、碧眼の狐、新田愛美、門主に謁見いたします」と言った。