ドアを開けると、馬場絵里菜は家全体が昨日来た時よりもずっと清潔で明るくなっていることに気づいた。窓までピカピカに磨かれていた。
「月島!」
馬場絵里菜が部屋に向かって呼びかけると、すぐに二番目の寝室のドアが開く音が聞こえた。
月島涼は相変わらず黒い服を着て、無表情で出てきた。
他の人たちが馬場絵里菜と一緒に来ているのを見て、月島涼も一瞬驚いた様子を見せ、そして挨拶を口にした。「先輩たち。」
寡黙な性格ではあるが、彼は礼儀知らずな人間ではなかった。今この時も表情は淡々としていたが、自ら進んで挨拶をした。
皆を部屋に通し、鈴木墨が部屋を軽く見回してから言った。「大先輩の言う通りだね。この家は本当に一日も住んでいないみたいだ。」
すべてのものが新品で、真っ白な壁にも一つの傷もなく、まるで塗りたてのようだった。