第511章:師叔、あなたは行ってしまうの

言い終わると、林駆は高遠晴も巻き込むことを忘れなかった。「高遠、お前も一緒に来い」

高遠晴:「……」

?????

そして、午後、馬場絵里菜と月島涼が武道場に戻った時、二人から四人に増えていた。

ただし、武道場の前庭に入るとすぐに、周りは静まり返っていた。

林駆は少し好奇心を持って尋ねた。「どうして誰もいないんだ?」

「きっと裏庭にいるわ」馬場絵里菜はそう言いながら、すでに裏庭へ向かって歩き始めていた。他の人たちもそれを見て急いで後を追った。

玄関を通り過ぎたところで、中川彰の声が微かに聞こえてきた。ただし、馬場絵里菜はその声を聞いて即座に眉をひそめた。師匠の口調が怒っているように聞こえたからだ。

「師妹、師弟!」

小さな呼び声が聞こえてきて、馬場絵里菜が目を上げると、先輩たちが本堂の戸枠に寄りかかって、こっそり盗み聞きをしているのが見えた。

西野孝宏は急いで馬場絵里菜に向かって静かにするよう手振りで示し、声を出さないように合図した。

馬場絵里菜は困惑した表情を浮かべ、林駆と高遠晴はさらに訳が分からない様子で、何が起きているのか分からなかった。

足音を忍ばせて近づくと、やっと中の中川彰の声がはっきりと聞こえてきた。

「お前がすでに決めたのなら、私に申し訳ないという態度は見せるな!人それぞれ志があるのだから、私も無理に引き留めはしない!これからは江湖で会うことがあっても、もう龍栄の者だとは名乗るな!」

本堂の中で、中川彰の顔は真っ赤に染まっており、明らかに怒りが極限に達していた。発した言葉には決然とした調子が込められていたが、それ以上に失望と心の冷えを感じさせた。

そして彼の向かいには、体格の良い中年の男が立っていた。男の名は豊田優といい、中川彰の父の弟子で、つまり中川彰の師弟だった。

龍栄道場の弟子たちは皆、彼のことを師叔と呼び、豊田優もまた龍栄道場の先生だった。

さらに現在、中川彰という館長の他に、龍栄道場に残された最後の武道家だった!

今、豊田優は本堂の中央に立ち、じっと動かずに中川彰の叱責を聞いていた。最後の「もう龍栄の者だとは名乗るな」という言葉を聞くまでは、豊田優の表情に明確な変化は見られなかった。