本当に彼だったんだ!
でもそう考えると納得がいく、馬場絵里菜は一瞬でこの事実を受け入れた。
白川昼はトム・ライトまで招くことができるのだから、国際的なブランドの広告代理人を獲得するのも難しくないはずだ。
社長が先ほど思わず机を叩いた可愛らしい様子を見て、橋本通は口元を緩めて笑った。「当時、沙耶香と契約を交わす際、リソースの項目に国際的なものも含まれていました。それも白川社長の指示でした。」
「当時は不思議に思いました。会社が立ち上がったばかりなのに、沙耶香に国際的なリソースを提供できるようになるまでどれくらいかかるのだろうかと。まさかこんなに早いとは!」
馬場絵里菜は意味深な笑みを浮かべながら橋本通を見つめ、まるで「白川社長の実力をあなたはまだ知らないのよ!」と言わんばかりだった。
橋本通どころか、クース国の王子である白川昼がどれほどの力を持っているのか、馬場絵里菜自身にも分からないことだった。
豊田拓海が何度も熟考した末にローズエンターテインメントを選んだのも納得だ。白川昼が自分に課した任務を完遂するため、沙耶香にこれほど良い機会を与えたのだから。
「この3つのCMの撮影時期と放送時期は正確に決めなければなりません。BYの広告は必ず他の2つの後になるようにしてください。分かりますね?」馬場絵里菜は橋本通に向かって言った。
橋本通はすぐに頷いて答えた。「ご安心ください。その件については既に先方と調整済みです。BYが一番遅くなります。」
国内の広告と国際ブランドの代理人、どちらが重要かは言うまでもない。
しかし、もし国際ブランドのCMが先に放送され、その後に国内ブランドのCMが放送されると、視聴者にリソースが途切れているような印象を与えかねない。既に国際ブランドの代理人なのに、その後で国内製品の広告を引き受けたと思われ、タレントの価値やランクを全体的に下げてしまう。
逆に、夏目沙耶香のリソースが着実に良くなっていき、一歩一歩確実に進んでいる印象を与えることができる。まず国内で最も知名度の高いブランドの広告を受け、その後で国際ブランドの代理人を獲得する、という具合に勢いのある展開を見せることができる。