第526章:初のアジア代表モデル

そう言って、橋本通は自分の頭を指差した。「これはちょっとおかしいようですね。」

馬場絵里菜はその様子を見て、思わず首を振って笑った。「もういいわ。彼らのことは今後私たちには関係ないわ。それより、会社の最近の進展について話してくれる?」

少し前かがみになり、両手を組んでデスクの上に軽く置き、聞く姿勢を整えた。

橋本通はその言葉を聞くと、素早く収納棚の前に歩み寄り、中からファイルを一つ取り出し、馬場絵里菜に会社の近況を報告し始めた。

「『交織の夜』のキャスティングは8月中旬に決定します。オーディションの案内は既に国内の主要な映像芸術学校や芸能事務所に送られており、多くの新人の資料が届いています。プロジェクトチームが一つずつ選考を進め、外見条件に合う人を一次審査に進めています。」

「会社のスカウトマンは最近、多くの制作チームや広告主と接触しており、先ほどの細田銘夫もある歯磨き粉のCM撮影現場で見つけました。彼以外にも、条件の良い新人が3人いて、1人は既に契約済み、残りの2人は交渉中ですが、問題なく進むはずです。」

これを聞いて、馬場絵里菜は思わず目を上げ、橋本通に意味深な視線を送った。

橋本通はすぐに説明を始めた。「社長、これについては心配いりません。この3人は全員フリーで、マネージャーもついていない純粋な若者たちです。きちんと育てれば、将来性はあります。」

馬場絵里菜はこれを聞いて、今度は頷いた。

橋本通は密かにほっと息をつき、続けた。「会社には3本のCMの依頼が来ています。全て沙耶香向けのものです。1本目は国産電子ブランドの文曲の星です。現在の学生が英語学習に使用している電子機器で、社長もご存知かと。」

馬場絵里菜は頷き、橋本通に続けるよう促した。

橋本通は「2本目は国民的ブランドの光本万年筆です。このブランドは国内でほぼ知らない人がいないほどで、沙耶香の写真を送ったところ、一目で気に入ってもらえました。」

ここで、橋本通は一旦言葉を区切り、馬場絵里菜を見つめながらゆっくりと口を開いた。「3本目は、国際的に有名なユースブランドBYです。このブランドの服は世界中の若者に人気があり、これまでの広告はすべて欧米人モデルを起用していましたが、沙耶香が彼らの初のアジア人モデルとなります。」

これを聞いて、馬場絵里菜の表情には驚きが浮かんだ。