第549章:また細田仲男に出会う

馬場絵里菜は心の中で白目を向けた。東京は日本で三番目に大きい都市ではないのか?なのに、まるで井戸の口ほどの小さな場所に住んでいるかのように、どこに行っても会いたくない人に出くわしてしまう。

これで二回目だ。外で人と食事をしているときに細田仲男に出会うのは。前回は古谷始と世田谷区の日本料理店でだった。

絵里菜の心の中で、会いたくない人ランキングでは、細田仲男は完全に井上裕人と一位を争える実力の持ち主だった。

心の中では嫌悪感を抱いていたが、絵里菜は表面には出さなかった。結局、豊田おじさんもいるのだから。

「おじさん」絵里菜はそっけなく呼びかけた。

細田仲男は笑みを浮かべていた。その笑顔は絵里菜の目には特に不気味に映った。彼女は今まで細田仲男が笑うところを見たことがなかった。