第565章:章の名前が思いつかない

細田登美子は頷いた。「はい、三軒あります」

都市計画局の職員はそれを聞いて言った。「では、他の二軒も案内してください。あなたの名義の家をまとめて登録しておけば、後の統計も取りやすくなりますから」

人に便宜を図ることは、自分にも便宜を図ることになる。細田登美子は頷いた。

「お姉さん、私も一緒に行くわ」と細田芝子も口を開いた。

家と門に鍵をかけ、細田登美子は数人を連れて、まず自分の家から近い細田繁の家へと向かった。

道中、その職員は細田登美子と気軽に会話を交わした。

「以前は足立区の家なんて大した値段じゃなかったんですよ。良い物件でも、せいぜい1000万円程度でした。あなたは運がいいですね。足立区の再開発に当たって、三軒合わせれば1億円以上の立退き料になりますよ」

「政府の政策が良いんです。私たち庶民も恩恵を受けさせていただいています」と細田登美子は穏やかな笑顔を浮かべながら答えた。