「誰かが裏で糸を引いているわ!」
次の瞬間、馬場絵里菜と白川昼が同時に言った。
二人とも同じことを考えていたということは、ほぼ間違いなく誰かが意図的に東海不動産の足を引っ張っているということだ。
「門主、誰だと思いますか?」白川昼は馬場絵里菜を見つめながら尋ねた。
馬場絵里菜は眉をひそめて思案に暮れた。東海不動産は設立されて間もなく、すぐにセンチュリーグループと戦略的提携関係を結び、他の企業とプロジェクトで競合や衝突を起こしたこともない。
唯一敵対関係にあるのは、馬場グループだけだった。
実際には敵対関係というほどでもなく、ただ二度のオークションで火花を散らし、馬場家が狙っていた土地を二つ奪っただけのことだ。
馬場絵里菜は確信が持てなかった。馬場グループのような大手企業が、設立したばかりの東海不動産を目の敵にするだろうか?