井上雪絵は慌てて表情を正し、甘えるように井上裕人を睨みつけた。「話題を変えないで!大事な話があるの!」
井上裕人は眉を上げ、端正な顔に笑みを浮かべた。「大事な話?何だい?」
「第二中学校に通いたいの」と井上雪絵は言った。
第二中学校!
この学校は井上裕人にとって非常に馴染みのある場所だった。
しかし井上裕人は深く考えず、ただ興味深そうに尋ねた。「なぜ突然第二中学校に決めたの?」
「絵里菜が第二中学校に通ってるからよ。私たち友達になったって言ったでしょ!それに達也も第二中学校だから、私も行きたいの!」
井上雪絵は何気なく説明したが、その言葉に井上裕人の表情が一瞬凍りついた。
絵里菜?
第二中学校?
最初は絵里菜という名前を聞いただけでは特に何も思わなかったが、今度は第二中学校というキーワードが加わり、井上裕人は考えずにはいられなくなった。