第586章:「焔」組織

伯爵の館。

テレビでは同じように東海不動産のニュースが流れていたが、古谷始はビジネスマンではないため、それに興味はなかった。

豪華で広々としたレストランでは、朝食だけでもテーブルいっぱいの料理が並んでいた。

古谷始は普段の朝食はお粥と卵だけだが、今日が違うのは遠方からの客人が来ているからだ。

テーブルを挟んで古谷始の向かいに座っているのは、清楚な容姿の西洋の少女だった。

少女は二十歳そこそこに見え、朱色の巻き毛が肩まで垂れ、肌は白く、目は深く、鮮やかな青い瞳は特に輝いていた。

朝早く起きたばかりで化粧もしていない素顔でも、その美しさは目を見張るものだった。

少女の本名はキャロライン、日本名は星野離といい、現在世界で最も神秘的で強力な組織「焔」に所属していた。

この神秘的な「焔」組織について、誰もよく知らず、組織の全メンバー七人を見たことがある人はごく少数で、背後で権力を握る首領の真の身元は誰も知らなかった。