細田登美子は言葉を聞いて少し戸惑った表情を見せ、数秒後になってようやく理解して頷き、白川飛鳥に微笑みかけた。「そうだったんですね。私自身も知らなかったのですから、あなたたちを責めるわけがありませんよ」
彼女はさっきまで不思議に思っていた。なぜ先ほどの二人の貴婦人はカードの登録がたった2分で済んだのに、自分たちはこんなに長く待たされているのか。実は絵里菜が他の人とは違う特別な会員カードを作っていたからだったのだ。
白川飛鳥はそれを聞くと、フロントに向かって主任に言った。「谷口さん、VIPの会員カードを頂戴」
相手はすぐにカードを渡しながら、小声で尋ねた。「白川部長、この方は?」
白川飛鳥は小声で答えた。「社長のお母様です」
一同:「……」
その瞬間、皆が納得したような表情を浮かべた。