その二人の上流婦人がフロントに立ち止まると、フロントの右側には翡翠のような透明感のある玉石で彫られた金運を招く蝦蟇の置物があり、全体が輝くような光沢を放っていて、一目で高価なものだとわかった。
蝦蟇は紫檀の台の上に置かれ、周りには大小様々な金貨や銀貨が散りばめられており、それらはすべて水雲亭の VIP 客たちが自ら置いていったものだった。
金持ちはこういったものを信じる傾向にあり、その二人の上流婦人も常連客らしく、一言も発しないうちに、まずはバッグから銀貨を二枚取り出して置いた。
その後、一人が銀色の会員カードを差し出して言った。「残高を確認してください。」
話しながら、相手は何気なくカウンターの左側に立っている細田登美子たちを一瞥した。
細田芝子と伊藤春はあまり美容に気を使わないタイプで、肌の色は少し暗く、目尻のしわも目立っていた。
その上流婦人は眉間に軽蔑と傲慢さを漂わせ、次に細田登美子を見た。
魅力的な体型、引き締まった肌、豊かで艶のある肩まで届く長い髪、全身が白く輝くように美しく、その雰囲気は絶世の美しさだった。
かすかに眉をひそめ、その婦人は鼻から濁った息を吐き出し、視線を戻した。
「佐藤様、このカードの残高は十二万六千円でございます。」
「これじゃ二回分も使えないわね。五十万円チャージしておいて。」佐藤は何気ない口調を装いながらも、実は高慢な態度で言った。
もう一人の上流婦人はそれを聞いて急いで言った。「あら、佐藤さん、まだチャージしないで。私のカードを使いましょう。この前たくさんチャージしたばかりですから。」
そう言いながら、彼女は自分のカードを差し出した。「これを使って。」
「高橋様、このカードの残高は八十二万三千円でございます。」
高橋は頷いて言った。「私のカードで支払います。」
佐藤はそれを見て、珍しく笑みを浮かべた。「晴香、今度は私が奢るわ。」
「佐藤さん、十万や二十万くらい、気にしないでください。」
二人の会話からは裕福さが滲み出ていて、細田芝子は表情を抑えきれず、呆然と見つめてしまった。
このクラブの会員カード一枚に、何十万円もチャージするということは、一回の利用料金はいったいいくらになるのだろう?