第624章:アルコール中毒

深いため息をつくと、細田仲男は軽く頷いた。「分かりました、細田さん。すぐに二人を貴方の班に回して進捗を上げるようにします。こんなことは、もっと早く私に言うべきでしたよ。もし早く知っていれば、あいつを許しませんでしたから!」

細田さんは疲れ果てた表情で手を振り、これ以上話したくないような様子だった。細田仲男がそう言ってくれても、あの若造は結局社長の弟なのだ。もし本当に告げ口をすれば、社長が板挟みになってしまう。

細田さんが去ると、細田仲男の表情は暗くなった。

この使い物にならない奴め。確かにリフォーム班の仕事は辛くて大変だが、繁には他に取り柄がない。もし少しでも出世の見込みがあれば、兄である自分がこんな汚い重労働をさせるはずがないだろう?

結局は役立たずで、途中で逃げ出したくせに一言の連絡もよこさない。考えるまでもなく細田仲男には分かっていた。この馬鹿は、庭が取り戻せなかったことで意地を張っているのだ。

まず下の部署に電話をかけて細田さんの班に二人を異動させ、次に経理に指示して細田さんの班全員に今月、一人当たり二百元のボーナスを出すように手配した。

オフィスの内線電話を切ると、細田仲男は携帯電話を取り出し、細田繁の番号を探して発信した。

電話は一度鳴っただけで、相手に冷たく切られた。

細田仲男は携帯電話を手に目を見開き、低い声で言った。「随分と図太くなったな、私の電話を切るとは?」

細田繁に二度目のチャンスは与えなかった。細田仲男は携帯電話を脇に投げ捨て、心の中で思った。二度と私の前に頭を下げに来るなよ!

その時、細田繁は家でタバコの煙を吐き出していた。

もともと広くない居間は鼻を突く煙の臭いで満ちており、床にはビール瓶が散らばり、灰は至る所に散らかっていて、テーブルの灰皿には吸い殻が溢れていた。

細田繁は何日も風呂に入っていないようで、しかも真夏の暑い時期だったため、部屋中が吐き気を催すような汗の臭いで充満していた。

鈴木夕は既に細田繁が仕事に行かなくなった二日目に、怒って実家に帰ってしまっていた。そして細田繁は立ち退きの件で深い打撃を受けたかのように、その後意気消沈し、自暴自棄な日々を送っていた。