世田谷区、国友インテリア有限会社。
社長室。
細田仲男は目の前の仕事に没頭していた。表情は厳格で、会社の仕事に対して常に真剣だった。
ノックの音が聞こえ、細田仲男は顔を上げることなく「どうぞ」と言った。
ドアを開けて入ってきたのは、肌の浅黒い中年の男性だった。作業着は泥で汚れており、それを見た細田仲男は思わず眉をひそめた。
「どうしました、細田さん?」細田仲男は手元の仕事を止め、細田さんを見つめながら尋ねた。
細田さんは会社のリフォーム二班の班長で、細田仲男の下では古参の存在だった。会社で長年働いてきたが、学歴の関係で、より高い地位には就けず、これまでずっと班長の職位に留まっていた。
しかし細田仲男は彼を粗末に扱うことはなく、給料もここ数年で何度も上がっており、そのため細田さんも細田仲男という社長に不満はなかった。