世田谷区、国友インテリア有限会社。
社長室。
細田仲男は目の前の仕事に没頭していた。表情は厳格で、会社の仕事に対して常に真剣だった。
ノックの音が聞こえ、細田仲男は顔を上げることなく「どうぞ」と言った。
ドアを開けて入ってきたのは、肌の浅黒い中年の男性だった。作業着は泥で汚れており、それを見た細田仲男は思わず眉をひそめた。
「どうしました、細田さん?」細田仲男は手元の仕事を止め、細田さんを見つめながら尋ねた。
細田さんは会社のリフォーム二班の班長で、細田仲男の下では古参の存在だった。会社で長年働いてきたが、学歴の関係で、より高い地位には就けず、これまでずっと班長の職位に留まっていた。
しかし細田仲男は彼を粗末に扱うことはなく、給料もここ数年で何度も上がっており、そのため細田さんも細田仲男という社長に不満はなかった。
自分の体が埃まみれであることを意識してか、細田さんはドアを開けると入り口で立ち止まり、疑問の表情を浮かべる細田仲男に向かって言った。「社長、うちの班は人手が足りません。二人ほど回してもらえないでしょうか。このままでは、今抱えている仕事を期限通りにお客様に引き渡すのは難しそうです。」
細田仲男はその言葉を聞いて、思わず表情が固まった。会社の各リフォーム班の人数は決まっており、それぞれの担当分野も異なっている。これらの人々が怠けなければ、決められた期間内に引き渡しができないということはあり得なかった。
「どういうことですか?」
何か問題があると察知し、細田仲男は即座に眉をひそめて尋ねた。
細田さんはため息をつき、かなり困った様子で話し始めた。「社長、実はこのことは前からお話ししようと思っていたんですが、社長の立場もありますし、我慢すれば何とかなるかと思っていました。」
聞けば聞くほど様子がおかしい。細田さんは会社に長年いて、細田仲男も彼のことをよく知っていた。基本的に自分から面倒を起こすことは少なく、仕事上で何か困難があっても、自分で解決しようと努力し、めったに彼のところまで来ることはなかった。
今の細田さんのこの言い出しにくそうな様子を見て、細田仲男は本能的に問題が細田繁に関係していると考えた。
「繁の問題ですか?」細田仲男は直接尋ねた。