第634章:最後の援助

お婆さんはもう一度ため息をつき、頷いた。「あなたたちにあげたものは返す必要はないわ。これからちゃんと暮らしていってくれれば、それが一番いいことよ。このお金は、将来のために貯金するのか、それとも一部を使って小さな商売を始めるのか、それはあなたたち二人で相談して決めなさい。私たちは口出ししないわ」

お爺さんはすかさず付け加えた。「でも私たちから言っておくけど、私たちはもう年だから、これが最後にあなたたちを助けられるお金よ。もしこのお金も無駄にしてしまったら、もう私たちには面倒を見る余裕はないし、見ることもできないからね」

立ち退き料の大半を出来の悪い息子に渡すなんて、細田家の老夫婦が普段は娘に冷たい態度を取りながらも、息子に対しては、たとえ細田繁であっても、できる限り助けようとし、少しの苦労も味わわせたくないという気持ちが見て取れた。