縁?
馬場絵里菜は心の中で冷笑した。
彼女は井上雪絵との縁は気にしていなかった。
井上裕人?因縁というほうが相応しい。
その時、井上雪絵は突然絵里菜の手を取って言った。「絵里菜、いつか時間ある?うちに遊びに来ない?」
「え?」馬場絵里菜は一瞬戸惑い、反応が遅れたように「あなたの家に?」
井上雪絵は急いで頷いた。「そう、お爺さんが、あなたを家に招待してって言ってたの」
井上お爺さん?
馬場絵里菜は表情を少し固くし、少し考えてから意外にも頷いた。「いいわよ、開校前なら都合つくわ」
母が入院していた時に井上お爺さんが何度も見舞いに来てくれたことを考えると、直接お礼を言いたいと思っていた。今がちょうどいい機会だった。
馬場絵里菜があっさり承諾したことに、井上雪絵は嬉しそうに頷いた。「じゃあ、この二、三日のうちに予定を決めて電話するね」