パーティー会場では、皆がグラスを手に思い思いに歓談し、とても賑やかな雰囲気に包まれていた。
東海不動産は遊園地プロジェクトで東京で大きな話題を呼んでおり、今日の総支配人白川昼の同伴者が大スター新田愛美だったことで、他の参加者たちの東海不動産への興味は一層高まっていた。
「新田さん、サインを頂けませんか?息子さんがあなたのファンなんです。」
「白川さん、私は陽栄インターナショナルの会長です。これが私の名刺です。今後、貴社との協力の機会があればと思います。」
二人の周りには人々が絶え間なく集まり、今日の朗星パーティーの花形となっていた。
白川昼は誰に対しても丁寧に挨拶を交わし、会話を楽しんでいた。
一方、新田愛美は愛想笑いで顔が引きつりそうになり、やっと隙を見つけて白川昼に「もう笑顔が保てません」と漏らした。
「じゃあ、あそこのソファーで少し休んでいきませんか?」白川昼は優しく言った。
新田愛美は頷いた。このようなビジネスパーティーは彼女にとって確かに退屈で、他の人々が話す内容も半分くらいしか理解できず、ほとんどが天書を聞いているようで頭が混乱していた。
しかし、その時、パーティー会場に突然騒ぎが起こり、驚きの声が次々と上がった。
「見て!あれは井上さんじゃない?」
「そうね、抱きかかえているのは誰?」
「わからないわ!」
「あれ?古谷社長が連れてきた若い女性じゃない?」
「え?本当?」
「間違いないわ。古谷社長に挨拶した時、彼女が隣にいたもの。あんな素敵なドレスだったから、絶対に間違えるはずがないわ。」
「じゃあ...これはどういう状況なの?」
「わからないわ。余計なことは言わない方がいいわ。あの方は井上さんなんだから!」
新田愛美と白川昼も皆の視線の先を追うと、井上裕人が馬場絵里菜を抱きかかえながら、真っ直ぐに向かってくるのが見えた。
新田愛美は目を見開いて「門...門主?」と声を上げた。
そう言うと、白川昼の方を向いて「グループを代表して来たんじゃなかったの?」と尋ねた。
白川昼も困惑していた。門主が朗星パーティーに来るとは聞いていなかったからだ。
それに、今の状況は一体どういうことなのか?なぜ抱きかかえられているのか?