勝利は突然訪れた。鈴木秋はマイクを持って大声で宣言した。「このラウンドの勝者は、井上財閥の井上さんとそのパートナーの馬場絵里菜さんです。」
会場から再び大きな拍手が沸き起こり、井上裕人と馬場絵里菜は共にステージの中央へと歩み寄った。
「井上さん、ラッキースピンを回していただけますか。」鈴木秋は井上裕人に向かって言った。
井上裕人は馬場絵里菜を一瞥して、「君が回してみたら?」と言った。
馬場絵里菜はそれを聞いて、躊躇いがちに「あなたと一緒にいる時は運が悪いんです。やっぱりあなたが回したほうが…」
井上裕人は顔を曇らせて「君が回せば、運も変わるかもしれないだろう!」
「子供みたい。」馬場絵里菜は口を尖らせたが、もう井上裕人と議論するのはやめた。ステージ上で誰がルーレットを回すか延々と議論するわけにもいかないからだ。
ルーレットの横に立ち、馬場絵里菜は軽く息を吐いた。心の中で自分を慰める:少なくとも「ありがとうございました」という空くじはない、最低でも200万円は当たるはずだ。
そう考えると、馬場絵里菜は落ち着きを取り戻し、軽く力を入れてルーレットを回した。
実は馬場絵里菜は心法を使ってルーレットの止まる位置を制御することもできたが、そうはしたくなかった。それではゲームの面白さが台無しになってしまうからだ。
ルーレットの回転が徐々に遅くなり、最後にゆっくりと…2000万円の位置で止まった!
「2000万円!」鈴木秋は即座にマイクを取って驚きの声を上げた。「馬場絵里菜さんが最高賞金の2000万円を引き当てました!」
会場が一瞬静まり返った後、一斉に拍手が沸き起こった。馬場絵里菜も暫く呆然としていた。一瞬自分の目を疑ったが、拍手が響き始めて、やっと我に返った。
「どう?運が開けたでしょう?」井上裕人の冷ややかな声が横から聞こえてきた。
馬場絵里菜は驚きと喜びで胸が一杯だった。彼女は完全に不正なしで、純粋な運だけで2000万円を引き当てたのだ!
鈴木秋も興奮気味に言った。「朗星パーティーで最高賞金を引き当てた人は何年もいませんでした。井上さんと井上財閥の皆様、おめでとうございます。東京商工会は井上財閥の名義で、この2000万円を希望工程に寄付し、貧困地域に希望小学校を建設する資金として使わせていただきます。」