勝利は突然訪れた。鈴木秋はマイクを持って大声で宣言した。「このラウンドの勝者は、井上財閥の井上さんとそのパートナーの馬場絵里菜さんです。」
会場から再び大きな拍手が沸き起こり、井上裕人と馬場絵里菜は共にステージの中央へと歩み寄った。
「井上さん、ラッキースピンを回していただけますか。」鈴木秋は井上裕人に向かって言った。
井上裕人は馬場絵里菜を一瞥して、「君が回してみたら?」と言った。
馬場絵里菜はそれを聞いて、躊躇いがちに「あなたと一緒にいる時は運が悪いんです。やっぱりあなたが回したほうが…」
井上裕人は顔を曇らせて「君が回せば、運も変わるかもしれないだろう!」
「子供みたい。」馬場絵里菜は口を尖らせたが、もう井上裕人と議論するのはやめた。ステージ上で誰がルーレットを回すか延々と議論するわけにもいかないからだ。