第674章:馬場絵里菜と井上裕人

それだけでなく、二人は4分間の制限時間まであと8秒も残していたのだ!

観客たちは自然と拍手を送り始め、今日から井上に対する印象が一新されたようだった。井上裕人を初めて見た人たちは、これまでの噂に騙されていたと感じ、彼がこんなに可愛らしい人だったとは思いもよらなかった。

馬場長生より良い成績を出したことで、馬場絵里菜も思わず心が弾み、笑顔がこぼれた。井上裕人を見る目も少し優しくなっていた。

「よくやったじゃない!」馬場絵里菜は井上裕人に向かって言った。

井上裕人は彼女の側に来て、得意げな表情で、聞くなり自慢げに眉を上げた。「君が勝ちたいって言ってたからさ、勝たせてあげたんだよ!」

言う方に意図はなくとも、聞く方には心に響く。

馬場絵里菜は一瞬驚いた表情を見せた。彼は自分が勝ちたいと言ったから、体裁も気にせずにゲームに参加してくれたのだろうか?