細田芝子は頷いて言った。「そうね。自分のことは自分で決めなさい。リフォームが忙しすぎるなら、秋岡に見てもらえばいいわ。どうせ彼のバーはそんなに忙しくないから」
進藤峰はすぐに答えた。「問題ありません、お姉さん。何かあったら直接私に言ってください」
細田登美子は微笑んで軽く頷いた。
世田谷区の細田仲男の家でも、同じように朝食を食べていた。
細田家の両親が引っ越してきてから、家での三食が規則正しくなった。お年寄りは睡眠時間が短く、普段は朝の6時前には起きていて、仲男は毎朝出勤前に温かい朝食を食べられるようになった。
「お母さん、お金は繁夫婦に渡したけど、この何日かで何かするって言ってた?」仲男は卵の殻を剥きながら何気なく聞いた。
お婆さんは言った。「昨日夕から電話があってね、二人で世田谷区に店舗を借りて八百屋を開くつもりだって。うまくいくかどうかわからないけど」