月島は言葉を聞いて困ったような表情を浮かべただけで、多くを語らずに洗面所に戻って歯磨きを続けた。
二人が武道場に着いた時には他のみんなも既に来ていたが、普段なら入るとすぐに先輩たちの声が聞こえるはずなのに、今日は不思議なほど静かだった。
前庭を通り抜けると、二人は応接室から漏れ聞こえる話し声を耳にした。
普段のこの時間帯は、みんな朝の練習前のストレッチとリラックスの準備をしているはずなのに、今朝はどうして応接室に集まっているのだろう?
不思議に思いながら、馬場絵里菜と月島は前後して応接室に足を踏み入れた。
「絵里菜ちゃん、やっと来たね!」
馬場絵里菜を見るなり、西野孝宏が真っ先に声を上げた。その声には興奮と喜びが隠せていなかったが、それは馬場絵里菜をより一層困惑させた。