第680章:それなら私が君に好きになってもらう方法を考えよう

帰り道で、井上雪絵は後部座席に座り、絵里菜を家に招待する時、どうやって輝も一緒に来てもらえるか考えていた。

「雪絵……」

隣にいた井上裕人が突然声をかけ、井上雪絵はすぐに我に返って彼の方を向いた。「お兄ちゃん!」

「絵里菜をいつ家に招待するつもり?」井上裕人は表情を変えずに、何気なく尋ねるように聞いた。

井上雪絵は少し考えてから答えた。「この数日中かな。もうすぐ学校が始まるし」

「その時は兄さんに教えてくれよ」井上裕人がまた言った。

井上雪絵はその言葉を聞いて、疑わしげな表情を浮かべ、井上裕人をしばらく見つめた後、意味深な口調で言った。「お兄ちゃん、もしかして……絵里菜のことが好きなの?」

井上雪絵は年齢はまだ若いものの、何も分からない年頃は過ぎていた。特に今夜の井上裕人の絵里菜に対する態度は明らかに普段と違っていた。自分も片思い中だったので、このような状況には敏感だった。